ゴマリグナンを知ろう

みなさんはゴマリグナンというのをご存知でしょうか？あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、ゴマリグナンは、ゴマに含まれるポリフェノール成分で、セサミン、セサモリン等の種類があります。いずれも生活習慣病の予防等の優れた健康効果があります。

今回はこのゴマリグナンについて詳しくお話したいと思います。

ゴマリグナンとは？

リグナンとは、植物に含まれるポリフェノール成分で、ゴマに含まれるリグナン類をゴマリグナンといいます。ゴマはその半分以上が脂質で、ゴマリグナンはゴマ1粒に約1％しか含まれない成分です。

ゴマリグナンには、主に、セサミン、セサモリン、セサモール、セサミノール、セサミノール配糖体等があり、それぞれ私達の体内で活性酸素の発生自体を抑制し、また、発生した活性酸素を無害化する優れた抗酸化力を発揮します。

活性酸素は、細胞内のエネルギー生産等の私達の生命活動に伴って、不可避的に発生します。本来は免疫系と協力してウィルスと戦う働きがありますが、紫外線、ストレス、環境汚染等で過剰に発生すると、私達の体にさまざまな害を与えます。例えば、がんや動脈硬化、アルツハイマー症等の原因になります。

ゴマリグナンは、その優れた抗酸化力によってこのような活性酸素の発生を抑制します。また、発生した活性酸素を無毒化して、動脈硬化性疾患(動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、くも膜下出血等)、痴呆症等のさまざまな生活習慣病の予防にすばらしい効果があることがわかっています。

ゴマリグナンの種類

ゴマリグナンには主なものとしてセサミン、セサモリン、セサモール、セサミノール、セサミノール配糖体等があります。以下、それぞれ詳しくお話していきたいと思います。

セサミン

セサミンは、ゴマリグナンの中でも最も多くゴマに含まれている成分で、ゴマ一粒に約0.5～1%程度含まれています。さまざまな健康効果があり、主なものだけでも次のような健康効果があります。

・血圧を下げる
・血中コレステロール値を下げる
・メタボリックシンドロームを予防・改善する
・動脈硬化を予防する・アルツハイマー症を予防する
・肝臓を保護しその機能を高める(アルコールの分解等)
・月経前症候群、更年期障害、生理不順、肌トラブル等を予防・改善する
・炎症を抑える
・疲労を回復する

セサミンは、小腸で吸収された後、門脈を通って、肝臓に直接届き、そこで代謝されることによって、強力な抗酸化力を発揮するようになります。したがって、セサミンは、特に肝臓においてその効果を発揮し、肝臓に対するその効果が注目されています。

セサモリン

セサモリンは、ゴマリグナンの中でもセサミンに次いでゴマに多く含まれている成分です。

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濃いこげ茶色と独特の風味が特徴の焙煎ゴマ油は、酸化に強く品質が安定していることで知られています。これは焙煎ゴマ油を製造する焙煎の過程で、原材料であるゴマに含まれるセサモリンが熱によって分解され、セサモールに変化するためです。セサモリン自体には抗酸化力はありませんが、セサモールに変化することで優れた抗酸化力を発揮するようになります。

私達の体の中では、セサモリンは、胃でセサモールに変化した後、腸で吸収されます。吸収されたセサモリン(セサモール)は、優れた抗酸化力によって、活性酸素によるDNAの障害を抑制し、また、全身、特に肝臓と腎臓においてコレステロール等の脂質が酸化されるのを抑制します。そのため、動脈硬化等の活性酸素が関係する生活習慣病を予防します。

セサモール

セサモールは、上記のセサモリンの項目でお話した通り、焙煎ゴマ油の製造過程で副産物的に生じ、その優れた抗酸化力によって焙煎ゴマ油の酸化を防ぎ品質を安定させます。

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また、私達の体内では、活性酸素が関係する動脈硬化性疾患等のさまざまな生活習慣病の予防に効果を発揮します。

セサミノール

焙煎ゴマ油と異なり、通常のサラダ油と変わらない外観のゴマサラダ油も、酸化に強く品質が安定していることで知られています。これはゴマサラダ油の製造工程における脱色の過程で、原材料であるゴマに含まれているセサモリンが、優れた抗酸化力を持つセサミノールに変化するためです。セサミノールはゴマリグナンの中でも最も抗酸化力が強く化学的に安定しています。

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このセサミノールに関して、現在、注目を集めているのがセサミノール配糖体です。セサミノール配糖体とは、セサミノールに糖がくっついたもので、他のゴマリグナンが油に溶ける脂溶性なのに対し、水に溶ける水溶性です。

このセサミノール配糖体は、そのままでは抗酸化力はありませんが、腸で腸内細菌の持つβ-グルコシダーゼという酵素によって代謝されることによって、優れた抗酸化力を持つセサミノールに変化し、吸収されます。

セサミノールは、私達の体内で強力な抗酸化力を発揮し、コレステロール等の脂質が酸化されるのを抑制すると共に、強力に動脈硬化を予防する働きがあることがわかっています。

まとめ

では、最後にここまでの話を簡潔にまとめておきましょう。ゴマリグナンはゴマに含まれるポリフェノール成分で、主に次の5種類があり、優れた抗酸化力により私達の体を活性酸素の害から守ってくれます。

・セサミン
・セサモリン
・セサモール
・セサミノール
・セサミノール配糖体

ゴマリグナンにはさまざまな生活習慣病を予防するすばらしい健康効果がありますが、特にゴマサラダ油や焙煎ゴマ油には、セサモール、セサミノール等の特有のゴマリグナンが豊富に含まれています。ゴマだけでなく、是非、これらのゴマ油も上手に食生活に取り入れていただけたらと思います、